雑記

時間があるときに細胞検査士の筆記試験の過去問を解いています

平成28年度 筆記試験 解答

とりあえず解いてみました。
 

総論 技術 体腔液 呼吸器 消化器 婦人科
1 14 5 4 1 4 3
2 3 3 4 3 2 5
3 2 2 1 1 2 4
4 5 2 3 3 1 2
5 4 5 2 2 3 5
6 4 4 2 2 3 3
7 13 3 4 4 3 3
8 1 5 2 1 5 1
9 4 1 5 2 5 1 1
10 2 2 2 2 1 5
11 4 1 2 4 3 1
12 5 1 3 3 3 2
13 4 3 3 1 4 5
14 4 3 4 4 ? 1
15 5 3 4 4 2 4 2
16 3 3 3 2 5 2
17 3 4 2 1 2 2
18 5 5 4 5 2 2
19 5 5 4 4 3 2
20 4 3 5 5 2 5


 
(2017/07/02追記)
平成28年度(第49回)の筆記試験の過去問は「日本臨床細胞学会誌 第56巻1号」のイエローページ載っています。
http://jscc.or.jp/wp-content/themes/jscc/gakkaishi/gakkaishi.html


(2017/10/10追記)
平成28年度の消化器の第15問の答えが違うという指摘がありました。

15.高分化型肝細胞癌の細胞像の特徴について誤っているものを1つ選びなさい.
1.小型細胞
2.偽腺管構造
3.N/C 比の増大
4.結合性の低下
5.脂肪化

原発性肝癌取扱い規約の中にある肝細胞癌の分化度と組織学的特徴という表を確認すると、配列という項目で高分化型は「細索状、小さな偽腺管」という記述があり、細胞の接着性という項目で高分化型は「+++」になっています。
ですので、問題15の選択肢2は正しく、選択肢4が誤りということになります。
ご指摘ありがとうございました。


(2017/10/22追記)
平成28年度の呼吸器第9問目
「大腸癌では立方状の腫瘍細胞が多くみられる」っていう文の『立方状』ってすごく引っかかるという疑問のメールを頂きました。

9.転移性肺腫瘍の細胞診断について誤っているものはどれですか.
A.腎癌では血性背景となることが多い.
B.腎癌では細胞質は淡明で広い.
C.大腸癌では壊死性背景を伴うことが多い.
D.大腸癌では立方状の腫瘍細胞が多くみられる.
E.食道癌では原発性肺扁平上皮癌との鑑別がつきやすい.

1.A.B  2.A.E
3.B.C  4.C.D
5.D.E

大腸癌の肺転移での細胞像は「高円柱状、壊死性背景」というのが鉄板です。
なので、ご指摘のとおり答えはD,Eになるかと思います。
腎癌の肺転移の細胞像については参考書にもあまり多くは書かれておらず、選択肢B程度の内容かと思います。
では腎癌で血性背景になることが多いのかどうかというと上手く答えられないですが、腎癌に限らず悪性腫瘍は血性背景を伴うことが多いので、そういう点では○になるのかもしれません。
ご指摘ありがとうございました。


(2017/10/27追記)
唾液腺腫瘍の細胞像について、正解が2となっていますが、
B:基底細胞腺癌は篩状配列なのではないでしょうか。
また、
E:多形腺腫は、繊維状の粘液様物質を認めますが、これを結合織性粘液というのでしょうか。
よろしくご検討くださいとのメールがありました。

2.唾液腺腫瘍の細胞像の特徴について正しいものはどれですか.
A.ワルチン腫瘍では小型リンパ球と好酸性細胞がみられる.
B.基底細胞腺癌では篩状配列がみられる.
C.腺房細胞癌では粘液球がみられる.
D.粘表皮癌の上皮性粘液はGiemsa 染色で強い異染性を呈する.
E.多形腺腫ではGiemsa 染色で結合織性粘液を認める.

1.A.B  2.A.E
3.B.C  4.C.D
5.D.E

まず、選択肢Bで基底細胞腺癌では篩状配列がみられるのか、みられないのかというと、みられることもあります(特徴的な所見ではないですが)。
ただ、問題文に「唾液腺腫瘍の細胞像の特徴について」と書かれており、唾液腺腫瘍で篩状配列が特徴的といえば腺様嚢胞癌といわれているので、Bは△としておきます。
次に、選択肢Eの結合織性粘液ですが、日本臨床細胞学会のホームページに掲載してある「細胞診用語解説集」の粘液の項目をみると

粘液(ねんえき)
mucus
細胞により産生、分泌された粘調な液の総称。主成分はムチン(mucin)と呼ばれる糖タンパク質だが、組成は一様ではない。上皮性粘液と結合織性粘液とがある。

なので、上皮性粘液でないほうは結合織性粘液(=間質性粘液)、また多形腺腫にみられる粘液は粘液腫様間質性粘液と表現されることもあるので、Eは○と考えます。
よって、正解は2のほうが好ましいと考えます。
ご指摘ありがとうございました。
余談ですが、細胞診用語解説集で「間質性粘液」と検索してもヒットしなかったので、間質性粘液という単語は細胞検査士の試験問題や臨床細胞学会の論文等でみられなくなっていくように思います。


(2018/08/24追記)
総論の1は4ではないでしょうか?
体腔液の6はAが〇、Dが×で解答は5ではないでしょうか?と2つのコメントをいただきました。

1.正しいものはどれですか.
A.高齢者の骨髄脂肪減少は生理的萎縮の一つである .
B.水腎症では腎実質に栄養障害性萎縮を起こす.
C.アポトーシスの増加は臓器の萎縮を引き起こす.
D.高血圧症での心肥大は機能性肥大である.
E.女性化乳房は特発性肥大に含まれる.

1.A.B  2.A.E
3.B.C  4.C.D
5.D.E

コメントの内容の通りだと思います。
水腎症はおそらく圧迫萎縮です。
解答を4に訂正しておきます。


6.誤っているものはどれですか .
A.亜急性壊死性リンパ節炎では核片を貪食した類上皮細胞がみられる.
B.結核性リンパ節炎では壊死物質を認める.
C.Piringerリンパ節炎はトキソプラズマ感染が原因である.
D.伝染性単核球症ではHodgkin/Reed-Sternberg細胞類似を認めることがある.
E.ネコひっかき病では好酸球浸潤像が特徴である.

1.A.B  2.A.E
3.B.C  4.C.D
5.D.E

Aは類上皮細胞ではなくマクロファージ(組織球)なので×だと思うのですが、類上皮細胞はマクロファージ由来なので、もしかすると○の可能性もありえます。ただ、類上皮細胞とマクロファージは形態学的に違いますし、壊死性リンパ節炎で類上皮細胞が出現すると記載されたものが見当たりません。とりあえず△にしておきます。
Bは○。
Cは○。
Dは「頭頸部・口腔細胞診アトラス」という本のウイルス性リンパ節炎の頁に”ウイルス性リンパ節炎では、Hodgikin細胞やReed-Sternberg細胞に類似した異型リンパ球が見られる場合があり、注意が必要である。”と記載があります。伝染性単核球症EBウイルス感染によるものなので○。
Eは早期膿瘍では単球様B細胞、組織球、好中球がみられ、後期膿瘍では類上皮細胞、リンパ球、好中球を認めます。好酸球浸潤は特徴的でないので×。
個人的には消去法で答えは2と考えます。

ご指摘ありがとうございました。


(2018/10/07追記)
平成28年度の総論6問目(7問目?)について、肺小細胞癌でみられる腫瘍随伴症候群は低カルシウム血症ではないでしょうか?というコメントをいただきました。

7.正しい組み合わせはどれですか .
A.高カルシウム血症 ―――――― 肺小細胞癌
B.低血糖症 ―――――――――― インスリノ-マ
C.カルチノイド症候群 ――――― 膵癌
D.クッシング症候群 ―――――― 甲状腺濾胞癌
E.皮膚筋炎 ―――――――――― 悪性黒色腫

1.A.B  2.A.E
3.B.C  4.C.D
5.D.E

腫瘍随伴症候群に関する問題です。
腫瘍随伴症候群のウィキペディアの分類のところををみてみると、高カルシウム血症は「肺癌(主に扁平上皮癌)」、低血糖症は「インスリノーマ」、カルチノイド症候群は「膵癌」とあります(腫瘍随伴症候群 - Wikipedia)。
原典は出典をみるとRobbins Basic Pathologyという本らしいのですが、確認はできていません。
クッシング症候群は異所性ACTH産生腫瘍(肺小細胞癌、カルチノイド、胸腺腫、膵ラ島癌、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫など)などで起こります。
皮膚筋炎は消化器癌との合併が多いです。

さて、質問の肺小細胞癌でみられる腫瘍随伴症候群は低カルシウム血症ではないでしょうか?ということなのですが、確かにおっしゃる通りだと思います。ただ、肺小細胞癌は他の組織型と比較してあまり頻度は高くないですが、高カルシウム血症の報告はあるようです。
また、日本内分泌学会のホームページの悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症のページをみてみると、腫瘍の骨転移の時にも高カルシウム血症が起こるそうです。

悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症ではPTH低値、PTH-related protein (PTHrP)高値となる悪性体液性高カルシウム血症(humoral hypercalcemia of malignancy:HHM)と骨転移に伴う広範な骨破壊による高カルシウム血症(local osteolytic hypercalcemia:LOH)がありHHM80%、LOH20%の頻度です。HHMは、腫瘍細胞が過剰に産生・分泌するPTHrPによって起こります。HHMは、肺扁平上皮癌、乳癌、泌尿生殖器系腫瘍や成人T細胞白血病での発症頻度が高いです。一方、LOHは、肺癌、乳癌などの骨転移や多発性骨髄腫などで、骨転移した局所で腫瘍が産生する骨吸収因子によって起こります。

一般の方へ | 一般社団法人日本内分泌学会

結果として、肺小細胞癌と高カルシウム血症とが大いに関連すると書かれているような文献を見つけれなかったので、Aは×寄りの△と考えます。問題文で、あえて肺”小細胞癌”としているところにも何か意味がありそうです。
Bは○ですね。
Cは膵癌としか書かれておらず、膵癌にはいろいろな組織型が含まれ、カルチノイド症候群は肺や消化器の神経内分泌腫瘍のときに起こります。
なので、Cは膵癌を膵神経内分泌腫瘍として考えるのならば、○としたほうがいいかもしれません。
Dは甲状腺濾胞癌ではなく、甲状腺髄様癌なので×。
Cは皮膚筋炎は消化器などの内臓の腫瘍と合併していることが多いので×。
よって、答えは3のほうがいいような気がしてきましたので、訂正しておきます。

ご指摘ありがとうございました。